本日の1枚 平賀さち枝

 平賀さち枝 / さっちゃん (CD)

さっちゃん

さっちゃん

 
 東京の女子SSW、平賀さち枝のファースト・アルバム。
 とりあえず1曲目『恋は朝に』の冒頭数秒を聴いて鳥肌が立ちました。アコギの雰囲気が北欧的で、暖かさと寒さを同時に感じる美しい音色。
 まるでトゥーリッドみたい、とか思っちゃいました。
 でも歌声はちょっと昭和な雰囲気もあり。何が似ているのかわからないけど、皆が荒井由美に例えるのがちょっとわかった。 
 続く『風のつよい日』では、メロウでアーシーなギターの音色にまたグッときたり。『きょうの出来事』とかもそうですが、繊細だがとろーんとした感性が素晴らしい。
 
 前述のとおり歌声はどこか昭和フォーキーっぽかったりします。
 『阿佐ヶ谷の部屋』なんて、何となくさだまさしを思い浮かべてしまった。しかし、さだまさしっぽいと思う歌に惚れるなんて、20年前の自分には想像もできないだろうな・・・
 しかし、『YOU』では一転して凛とした裏声に。沖縄な雰囲気のアレンジながら、なぜか英国フォークの息吹を感じてしまいました。
 逆に『私生活』での薄い歌声もまた素敵。音も非常に薄いのですが、声も歌詞も薄い。こんな若い人がこんな境地に立ってることが本当に凄いと思います。
 ラストの『高円寺にて』は、ほんわかしてるけどどこか薄ら寒さも感じたり。このあたりからは、70年代初め頃のいしだあゆみな雰囲気を感じました。
 
 彼女を語るキーワードとして「少女性」があります。
 確かに歌詞や何かはガーリーに思えますが、歌を聴いてると逆に少年な甘酸っぱさを感じたりもします。聴いてる俺が男だからか。
 いや、かつての川本真琴を無理矢理見いだそうとしているのかもしれません。
 まぁゴダゴダ言わず、もしかしたら成長によって輝きが失われてしまうかもしれない彼女の魅力を、今ここで堪能しておかないとね。
  
 
 恋は朝に