本日の1枚 Robin Scott

 Robin Scott / Woman From The Warm Grass (CD)

Woman From the Warm Grass

Woman From the Warm Grass

 
 ロビン・スコットという名を、テクノ・ポップ・ファンであればすぐにピンとくるであろう。そう、あの「M」のロビン・スコットであります。
 しかしそのロビン・スコットが、フォーク・ロックなソロ・アルバムをリリースしていたことを、多くのテクノ・ポップ・ファンは知らないでしょう。(僕も知りませんでしたが)
 で、それがこのアルバム。1969年にリリースされた盤ですが、SunbeamからCD化されておりました。
 
 基本的には内省的なSSWアルバムです。
 ニック・ドレイクっぽいと書かれたレコ屋の謳い文句を見たのですが、確かにいかにも英国風な陰鬱さに満ちています。
 ほとんどアコギのみ、時折ピアノが入るシンプルな演奏で、ややアシッドに「心ここにあらず」系のフォーキー・ロックな楽曲が続きます。
 
 特筆すべきは、歌声の情けなさ、遣る瀬なさ。
 決して誰かに何かを訴えるでもないような、自己満足、自己陶酔な世界にどっぷりを浸かっています。
 その世界に共鳴できれば、きっとテクノ・ポップ・ファンでも感涙に浸ることができるでしょう。
 
 まずは冒頭の『Sailor』から情けない歌声に釘付けとなりますが、続く『Song Of The Sun』での悦に入った語りヴォーカルにもう何も言うことができません。
 必要以上のジャカジャカが耳に木霊する『Day Begins』、なぜか緩やかグルーヴィな『I Am Your Suitcase Lover』
 普通に内省フォークとして良曲な『Mara's Supper』、普通にサイケ・ロックとして良曲な『Purple Cadger』とか、なかなかいい味出してますねぇ。
 
 特にお気に入りは、もう何をやりたいのか分からない『Penelope』。
 GS風な歌謡サイケに始まりるのですが、なぜかダブなトラックにノイズ音が渦巻くエクスペリメンタルな音楽に変化していく怪作なのです。