本日の1枚 Masha Qrella

kobbanova2005-03-10

Unsolved Remained

Unsolved Remained

 MONIKA(ノイバウテンの人が主催するレーベル)からリリースされたファースト・アルバムがとっても素敵だったマーシャ・クレラさん。先月、期待のセカンド・アルバムが MORR からリリースされました。
 前作同様、フォーキーなエレクトロニカです。基本的には打ち込みリズムにアコギ、歌声が中心のシンプルなアレンジですが、時折キラキラと電子音の音色が挿入されます。
 この人の魅力は、静謐で薄く、冷たい空気感。メロディはメランコリックなんだけど、全然甘みが無くて、どこかヒンヤリとしてるんですね。透き通ったヴォーカルはジェントルなんだけど、包み込まれるようなタイプじゃなくて、ちょっと離れた距離から優しく諭されているような感じで。
 そろそろ春になっちゃうけど、モノクロの冬景色が似合うような儚さが素敵で、触れれば溶けて消えそうな、あやうくユラユラした浮遊感に惹きこまれます。
 前作に比べると、ちょっとビートが強まったり、エレクトロニクス度合いが高まったりしてます。ポップさが強まるのは好いですが、シンプルな美しさだけでも勝負できる人なので、変に色気を出さない方が良いように思えます。
 特にフィードバック・ギターの挿入はちょっと疑問。耽美な方向に向かっちゃうと、この人の魅力が失われていくような気がします。
 オープニングのタイトル曲は、電子音などの彩りが施されてはいるものの、音と歌声との隙間のバランスが素晴らしく切ない。ほとんどアコギと歌声のシンプルな構成の『Sisiter Welcome』が一番のお気に入り。この人は絶対SSW路線のほうが向いてるって。