本日の1枚 Fingers Inc.

kobbanova2005-04-06

 iPodにハウス・クラシックスを取り込んでます。
 今聴くとどうも恥ずかしいものが多い初期ハウス・ミュージックのなかで、色褪せない輝きを放ち続ける名盤を再発見する喜びを感じています。
 一枚選ぶとすればコレかな。

 Fingers Inc. / Can You Feel It (12" single)
 シカゴ・ハウス重鎮の1人、ラリー・ハード。彼の最大の功績は、機械的なグルーヴを反復し続けるハウス・ミュージックに「ソウル」を吹き込んだことでしょう。
 彼の代名詞にもなっている名曲がこの作品。
 '86年にシカゴの TRAXレーベルからリリースされたシングルで、ディープ・ハウスの先駆的作品といえます。
 軽やかにステップを刻むチープなリズム・マシン、アシッドに繰り返されるベース・ライン、浮遊感あふれるシンセのフレーズ。とても単純な機械音の組み合わせのなかに、なぜか人間ぽさ、ソウルフルさが浮き上がってきます。
 そして、心地良いグルーヴ感とともに感じる宇宙への志向。独りよがりなスピリチュアルさではなく、慈愛に溢れた高い精神性を強く感じます。ラリー・ハードの作品がデトロイト・テクノの人たちに支持される理由はそこにあるのでしょう。
 僕が持ってる盤(右上ジャケ)は同年にロンドンの JACK TRAXレーベルから発売されたもの。TRAX のレコード、当時はプレス数が少なくてすぐに売り切れてたんですよ。
 オリジナルと同じく4ヴァージョンが収録されています。マーティン・ルーサー・キングの有名な演説を乗せたヴァージョンも良いですが、ロバート・オーエンズの叙情的なヴォーカルが泣きのメロディを辿るヴォーカル・ミックスが最高に素晴らしい。気持ちよく躍らせながら感涙を誘う逸品です。

キャン・ユー・フィール・イット ~トラックス・クラシックス

キャン・ユー・フィール・イット ~トラックス・クラシックス

 この曲の4バージョンを含むラリー・ハードの初期作品がCD化されていますね。シングルを持ってないならば買いでしょう。