本日の1本 肉弾

kobbanova2005-04-20

 スカパー「日本映画専門チャンネル」で岡本喜八特集が組まれてて、喜八作品全39作の中から、36作品が一挙放送されます。
 未ビデオ化の作品までドドッと放送されるのでコアなファンの方々も楽しみにしているでしょうが、僕が一番楽しみにしてるのは『殺人狂時代』、あとは『ああ爆弾』、『戦国野郎』、『肉弾』といったところですね。
 で、今日は『肉弾』を観ました。
 主人公は学徒兵の“あいつ”。出陣前に1日だけ許可された外出で、美しい少女“うさぎ”と出会い、結ばれ、自分は何のために死ぬのかを理解する。そして主人公は敵艦隊を迎え撃つために魚雷にくくりつけられたドラム缶に入り、太平洋を漂い始める。しかし数週間後、通りかかった糞尿処理船の船長に終戦を告げられるのだった、、、て、ストーリーです。
 岡本喜八監督は他にも多くの戦争映画を手掛け、その中には『日本のいちばん長い日』のようなドキュメンタリー・タッチの作品もあります。
 しかし、戦争のアホらしさ、虚しさをより衝撃的に表現している点では、まともに戦争を描いている作品よりも、むしろコメディ・タッチのこの作品の方に軍配が上がるのではないかと思います。
 とりあえず、まず冒頭シーンで、全裸で訓練を受けている主人公の姿にブッ飛びました。だって、他の人はみんな普通に軍服を着てるんですよ。
 そして最も印象的なのは、いきなり昭和43年へと年月がすっ飛ぶラスト・シーン。浜辺で若者たちが海水浴に興じているその沖で、ドラム缶で漂いながら白骨化した“あいつ”は「バカヤロー!」と叫び続けます。
 メッセージを伝えるには、大袈裟な能書きやリアルさなんかよりも、わかりやすさとインパクトの強さが大事なんだと実感。
 背後に流れる呑気な音楽も素敵だ。
 さらに言うと、デビュー作で脱いでる、ヒロイン役の大谷直子も素敵です。意味はわからないけど、大谷直子も全裸で走ってるぞ。