本日の1枚 from Cover to Cover

 先日紹介したジョイ・ディヴィジョン『Love Will Tear Us Apart』のカヴァーを含むアルバム。
 最近ニュー・ウェーヴ曲のボサ・カヴァー盤がいくつかリリースされていますが、そのブーム(?)の先駆け的なアルバムがコレです。
 
 Nouvelle Vague / Nouvelle Vague (LP)

Nouvelle Vague

Nouvelle Vague

 アナログ盤とはジャケが違いますが・・・
 ディスコ・パンクな曲などをリリースしている Marc Collin と、シャンソンフレンチ・ポップを歌う Oliver Libaux の2人が結成したフレンチ・ボサなユニット。
 2004年にリリースしたアルバムで、ユニット名どおりな内容なのです。
 アコースティックな楽器を主体とした小洒落たブラジリアン・サウンドに、キュートな女性ヴォーカルというスタイル。
 ただ、そのスタイルでカヴァーするのは、1980年代に一世を風靡したパンク〜ニュー・ウェーヴの名曲たち。
 なんでもボサ・カヴァーなアルバムは数あれど、ニュー・ウェーヴ専門なアルバムはこれが初めてなんじゃないかな。
 とりあえず1曲目のジョイ・ディヴィジョン『Love Will Tear Us Apart』のカヴァーでKOされました。シンプルなアコギで紡がれるあのフレーズ、女性ヴォーカルでしとやかに歌われるあのメロディ。元曲の絶望的な美しさは無いけれども、その代わり、淡いアレンジによって儚さが際立っています。面白いだけでなく、なかなか好い雰囲気。
 2曲目はデペッシュ・モード『Just Can't Get Enough』のカヴァー。サンバのリズムで軽やかに「トゥ、トゥル〜」て、薄いグルーヴィさもキュートさもとっても素敵。このアルバムで一番のお気に入りです。
 クラッシュ『Guns Of Brixton』を小粋なジャズ・カヴァーに、P.I.L.『This Is Not A Love Song』を突き放すような冷たいボサに、XTC『Making Plans For Nigel』をほのかに暖かなボサで、キリング・ジョークPsyche』をサイケ・ポップ調に、スペシャルズ『Friday Night Saturday Morning』をぐねぐねギター・ポップにカヴァー。
 デッド・ケネディーズのカヴァーは、やっぱどう聴いてもパンクだな。ハハ。
 その他、シスターズ・オブ・マーシーやキュアーなど、80年代に青春を過ごした者のハートを打ち抜く選曲センスと、意外に良い出来のボサ・アレンジが素晴らしい好盤です。
 元曲を知らなければ魅力が半減するでしょうが、知らなくても十分に楽しめるレベルにはあると思います。
 ちなみに↑のリンク先(Amazon)で全曲試聴ができるので、ぜひチラッとでも聴いてみてください。