本日の1枚 Remembrance Days of 80's
レコードコレクター誌の「リイシュー・アルバム・ガイド」にて、P-VINE から Passレーベルのシングル盤を集めたコンピがリリースされていたようです。
↓ brues interactions のサイト
http://www.bls-act.co.jp/music/detail.php?wpid=2575<id=25
印象だけは強烈なレーベルだったので、ちょっと聴いてみたい気もします。
ちなみに、手持ちはこのシングルだけ。
Phew / 終曲 (7")
アーント・サリー解散後、'80年にリリースされたソロ・デビュー・シングル。
プロデュースは坂本龍一で、Phewのヴォーカル以外のすべての音を坂本龍一が演奏しています。
ダブ的なアレンジを施したシンセ音響サウンドは、極めて自由度が高く、トゲトゲした攻撃的なアヴァンギャルドさに満ちています。
本当かどうかわかりませんが、坂本龍一はこのシングルでの仕事の影響を強く受けて、数ヵ月後に『B-2unit』をリリースしたと言われています。
さて、しかしながら、そんな坂本龍一の尖ったサウンドが全く目立って聴こえません。
まずPhewの歌声に圧倒されてしまいますから。
僕は初めて彼女の歌声を聴いたとき、その無機質さに驚きました。突き刺さるような冷たい歌。
この盤でもその冷たさは圧倒的です。
音程を無視した唱法で投げやりに淡々と歌う彼女の歌声を聴いていると、ジッとしてられないような焦燥感を感じます。
メロディは童謡ぽいのですが、全然気分が和みませんよ。
強烈な歌詞を含め、えぐり出された内臓を見せつけられるような感覚。
ワルツ風のリズムとメロディ、ダブ処理が印象的なタイトル曲も素晴らしいですが、僕はB面の『うらはら』が大好きです。
シンセの不協和音が薄く鳴り響き、掴みどころのない歌声がじわじわと浸透してきます。
自分の存在に自信を持てなくなるようなゾクゾク感を味わえる傑作です。
目立ってないけど、坂本龍一、いい仕事してますね。