本日の1枚 New In!

kobbanova2005-08-06

 先々月に再発されたモノで、なんとなくノーマークだったんですが、帯の「ソフト・ロック歌謡の隠れた名盤」て謳い文句に惹かれて購入しちゃいました。
 
 梶芽衣子 / 去れよ、去れよ、悲しみの調べ (CD)

去れよ、去れよ、悲しみの調べ(紙ジャケット)

去れよ、去れよ、悲しみの調べ(紙ジャケット)

 「さそり」シリーズや「修羅雪姫」などでの怨念の籠もった眼差し、ヒット曲『怨み節』での情念の籠もった歌声が印象的な梶芽衣子さんですが、そのイメージを払拭するようなポップなアルバムをリリースしていたんですね。
 リリースは1974年。「修羅雪姫」の最終作「怨み恋歌」の公開と重なります。
 タイトルはヘッセの引用で、その語感からなんとなく『怨み節』のような情念歌謡を想像してしまいそうですが、それは大間違い。
 これがなんとソフト・ロック歌謡なアルバムなんです。
 
 松任谷正隆矢野誠かまやつひろしなかにし礼大野克夫のほか、コーラスに伊集加代子シンガーズ・スリーが参加しています。
 そんな素晴らしい作曲家陣がつくり出すサウンドは、どれも淡い色彩のポップさに包まれた、柔らかな雰囲気のソフト・ロック〜フォーキー・ポップな曲ばかり。
 そして梶芽衣子も、『怨み節』からは信じられない、シルキーに柔らかで、そして爽やかな歌声を聴かせてるんです。
 驚くべきことに、「可愛い」のですよ。
 
 松任谷正隆がアレンジを手掛けた『不思議ね』と『とりとめもない思い』が目玉の2曲との評判です。溌剌としたドリーミーさが、まるでデビューしたてのアイドル歌手のような爽やかさを湛えています。
 僕のお気に入りは矢野誠作曲の『舟にゆられて』。実はこの曲は名コンピ「ソフトロック・ドライヴィン」に収録されていたもの。ほんわかとした柔らかな曲調なんですが、なぜかヒヤリと冷たい感触が伝わってきます。ドリーミーさのなかに諦念を感じる歌声も、パステル・カラーな煌きも眩い音の美しさも、とても素敵な曲なんです。