本日の1枚 Musica Brasileira

 では、籐椅子なジャケということで。
 
 Joao Donato / A Bad Donato (CD)

Bad Donato

Bad Donato

 のほほんとしたドナートのイメージを打ち破るファンキーなアルバム。
 '70年に米国で制作したもので、当時の彼の地の空気を吸収したためか、サイケ〜ファンクな色合いを強く感じます。
 アレンジは本人に加えてデオダードが手掛け、ゲストにはバド・シャンクやドン・ウン・ロマンが参加しています。全曲インスト、ブラジリアン・ファンクな盤です。
 ブラジリアン・フュージョンの繊細さを、米国のサイケ、ジャズ・ファンクなグルーヴィさが力任せに組み伏したような音で、タイトルどおりに「バッド」な感じですね。
 変則的なリズムと歪んだ音から成る、グルグルしたグルーヴィさが素晴らしいです。
 とはいえ、クールに徹しきれず、やはりどこな呑気な雰囲気も有り。
 のんびりと狂気的なリズム感に恐れ入りました。やはりドナートは凄い。
 
 とりあえず、冒頭の『The Frog』で参りました。ほのぼのとしたボサ曲を、グネグネしたサイケ・ジャズ風に演奏。小刻みに吹きまくるホーンのファンキーさ、緊張感がたまりません。
 『Celestial Showers』は、オルガンの音色がサイケデリック風味で、高速に畳み掛けるパーカッションとの絡みがカッコ良い。
 『Bambu』は、全体的にのどかな調子の中、タメの空気感がジェイムス・ブラウンぽい。
 『Lunar Tune』は、地味な曲ではありますが、のんびりした雰囲気ながらもイカレたリズムが炸裂していて、まさにこのアルバムを象徴しているかのような曲です。ドナートの卓越したリズム感を堪能できます。
 『Debutante's Ball』や『Mosquito』は、レア・グルーヴィなオルガンものジャズ・ファンク、『Straight Jacket』は、イタリアン・ライブラリー系なサイケ・ジャズではありますが、やっぱどこかブラジルらしさが感じられるのが面白いところです。