本日の1本 悪魔のかつら屋

kobbanova2006-02-09

 下宿人を募集している、腕の良さで評判のかつら屋。しかしそこでは、入居希望の女子大生を殺しては頭の皮を剥ぎ、、、て、タイトルそのままのストーリーです。
 
 監督はスプラッタ・ホラーのパイオニアハーシェル・ゴードン・ルイス。スプラッタ・ホラーの原点と言われるこの作品ですが、実際に血飛沫が見られるシーンは3ヶ所だけです。
 1 頭の皮をナイフで剥ぐ。
 2 首をノコギリで切断する。
 3 腹を裂き内臓を引き出す。
 なるほど確かに、この3つの殺害シーンは後のショック映画で必要な残酷要素を備えているかもしれません。
 しかし、この映画で重要と思えるポイントは、かつら屋の母親のいいなりとなって女子大生を殺害している、知的障害者の息子の描き方でしょう。神である母に生贄を捧げる彼は祭司であるようで、どこか原始宗教のあり方を思わせます。それで殺人の理不尽さが吹き飛ばされてしまってますね。まぁ、普通の人が猟奇殺人を犯す現在ではどうでもいいことかもしれませんが。
 
 ほんの1分ほどのスプラッタ・シーンが3ヶ所だけで、それ以外は意味の無いストーリーが無駄に長く続くのも凄いですね。探偵役の女の子が怪しげな男を延々と尾行するシーンや、ドライブインシアターで思わせぶりな会話をしながら延々と食べ物を食べ続けているシーンなど、本筋の伏線でも何でもない無駄なシーンが山盛りに挿入されています。
 恐怖映画なのに、ほんわかとしたユルイ空気感が漂っているのも素敵ですね。ショッキングな殺人を描きながらも基本的にはコミカルな会話でストーリーが進むし、主人公の女子大生もちょっとおとぼけキャラだし。
 
 とりあえず一番の見所はと聞かれれば、やはりオープニングの珍妙なクレイアニメ(?)でしょうね。顔を描いたマネキンの首2つがストーリーの前振り会話をするんですが、間抜けなアホっぽさと同時にちょっとゾクっとする怖さも感じたりして、この映画に含まれている魅力を1分ほどに濃縮したような出来映え。とても素敵です。
 
 
 ちょっと色彩が変わってますが、こいつらです。
 bluemarbleさんのサイト(http://www.medianetjapan.com/2/20/music_audio/bluemarble/)から無断引用しましたが、ぜひともジャケに使っていただきたいものです。