本日の1冊
昨年末からバタバタしているので、月日が過ぎる感覚があんまりないのですが、もう3月なんですね。このブログ、サイトの更新もすっかり滞っております。当分は週末ちょこっと更新するくらいしかできないかなぁ。
年度末の3月は出張が多い時期で、そのために時間が削られていくことはツライんだけど、移動中に本を読む時間ができることはちょっと嬉しい。
芥川賞を取った作品でも読んでみようかと本屋に寄ったところ、店頭に並んでいた別作品のほうが気になって購入しました。
ニート
- 作者: 絲山秋子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/10/29
- メディア: 単行本
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さて、ニートな人をどのように描くのかが気になったのですが、全然真正面から描こうとしていないんですね。普通に日常を切り取っただけの展開で、ニートを断罪しようとも、支持しようともしていない。それで「ニート」てタイトルをつけるとは凄いですね。
淡々と流れていく日常は、逆にとてもリアル。それを綴る文章はサラッとあっさりしているんだけど、でも爽やかさは皆無で、読んでてすっごく後味が悪い。
男女間、友人間の関係を描いているんですが、淡々と語るが故に人間的な感情が欠如していて、ちょっぴり自己中心的な言動のみが浮かび上がります。行間からは薄い空気感がにじみ出てきます
その希薄な人間性こそ、なるほど「ニート」なものかも知れません。
5篇めの「愛なんかいらねー」は完全にいっちゃってますね。浣腸マニアの男につきあわされる女。男を好きなわけでも、無理強いされてるわけでもないのに、流れでSMプレイを受け入れる。とんでもないプレイをサラッと普通ぽく語る文章も素晴らしいし、その「どうでもいいわ」感がとてもリアルで薄ら怖ろしく、読後に不快さのみが残る傑作ですね。
とりあえず「スカトロ祭り」て語には参りました。
芥川賞受賞作品も読んでみようかな。