本日の1枚

 Agincourt / Fly Away (CD)
 

Fly Away

Fly Away

 
 英国の自主制作アシッド・フォーク。Ithaca の前身バンドです。
 プログレッシヴなイサカの曲構成に比べると、ポップな小品な並んでいます。
 いわゆる木洩れ日フォーキー・ポップなんですが、微妙にサイケデリックな味わいがなんとも素敵です。
 イサカと同様、ドリーミーで美しいメロディが魅力なんですが、あんまり統一性がなくって、瑞々しい清涼感あふれる曲もあれば、ベタベタに庶民的な曲もあり、また曲によってはモロにポップ・ソングだったりしています。
 
 唯一すべての曲に共通するのは、へなちょこ感ですね。
 全然上手くない演奏、情けない男性ヴォーカル、儚げな女性ヴォーカル、ひねくれたポップ・センス、小さな世界観の可愛らしさ。
 イサカの盤をレヴューしたときに「ネオアコっぽい」と書いたんですが、こちらの盤はもうほとんどアノラックな雰囲気です。
 
 オープニング『When I Awake』は、淡いメランコリックさに包まれた幻想的なフォーキー・ポップ。アンニュイな女性ヴォーカルが素晴らしい。
 M-2『Through I May Be Dreaming』は、美しいアコギの紡ぎに耳を奪われるギター・ポップな曲。か細い歌声がなんとも儚げでキュートで、ベルセバなんかを想起させます。終盤のフルートの音色が素敵で、この盤では一番のお気に入りです。
 M-3『Get Together』は、強めのビートになんとも情けない男性ヴォーカル、情けないギターの音色がいい感じのギター・ポップ。これはパステルズあたりを想起させます。
 M-6『All My Life』は、甘いメロディがドリーミーなソフト・ロック風味の曲。
 M-7『Mirabella』は、ちょっぴりヘンテコなメロディを女性ヴォーカルがたどっていく、これまたギタポな曲。
 M-10『Dawn』は、突然にサイケデリックなアレンジ。下世話な空気感なんかは、サイケ・ポップというよりも日本のGSに近い気がします。