本日の1枚

 前回に引き続き。
 
 Friends / Fragile (CD)
 

Fragile

Fragile

 
 英国の自主制作アシッド・フォーク。Ithaca の後身バンド(?)です。
 '72年に録音されたものの未発売に終わった盤らしい。ガイド本「ラビリンス/英国フォーク・ロックの迷宮」に紹介されているテストプレス盤のジャケットには、イサカのグループ名が書かれています。事実上、イサカのセカンド・アルバムと言えるでしょう。
 
 イサカの盤より後に録音されたようですが、大作志向ではなくポップな小品な並んでおり、雰囲気としては前身の Agincourt に近いように思えます。
 やはり柔らかなドリーミーさ、マジカルな浮遊感がとても素敵な木漏れ日フォーキー・ポップで、80'sネオアコなテイストの箱庭アコギ・サウンドが可愛らしい。
 曲調に似合わないややハードなサイケ・サウンドが時おり唸り出し、Agincourt でも垣間見せたサイケへの志向が興味深いところです。
 
 この盤では、Lee Menelaus に代わって、Ruth Cubbin という人を女性ヴォーカルに起用。儚げな Lee の歌声と比べると、凛とした佇まいをしていて、物悲しいメロディを辿っても慈愛が溢れてくるよう。
 ギター・ポップな印象の Lee と比べ、英国フォークらしい歌声ではあります。
 ジェントルというより情けない感もある男性ヴォーカルとのハーモニーも、それはそれでいい感じなんです。
 
 オープニング『You Need Friends』は、ギター・ジャカジャカ系のギター・ポップ。情けなくもハート・ウォーミングなハーモニーに心奪われます。
 M-3『Summer Sunday Blues』は、アンダーグラウンドな香り漂うリズムに爽やかな男女ヴォーカルが絡んでいき、沈み込むようなメロウさがトリッピーでクセになります。
 M-4『One Sweet Day』は、可愛らしい音使いに胸キュンの、80'sネオアコな雰囲気の小品。
 M-5『Memories』は、ブンブン唸るグルーヴィなベースにサイケなファズ・ギター、でも曲調は穏やかなサニー・ポップという珍品。
 M-8『Come Inside』は、ソフト・ロッキンなリズムと美しいアレンジが印象的で、ジェントルな男女ヴォーカルのハーモニーとの相性も抜群なフォーキー・ポップ。儚げなハッピーさがなんとも素晴らしい。
 M-9『Take A Walk』は、ほんのりラテン・テイストのスカスカ・リズムとスパニッシュなアコギの音色がモロにギター・ポップ。青春なメロディもネオアコっぽい。
 M-11『Once In A Winter Town』は、アコギとヴォーカルを中心としたシンプルなフィメール・フォーク。ギターのフレーズと清々しい歌声が英国フォークしていて、寒々しさとほのかな暖かさがとても好きです。