本日の1枚

 The Incredible String Band / The Hangman's Beautiful Daughter (CD)

ザ・ハングマンズ・ビューティフル・ドーター(紙ジャケット仕様)

ザ・ハングマンズ・ビューティフル・ドーター(紙ジャケット仕様)

 
 '68年リリースの3枚目。まだウィリアムソン、ヘロンのデュオ編成です。
 とはいえ、ウィリアムソンはギターのほかパーカッションにピアノ、マンドリン、ハーモニカなどを、ヘロンはシタールハモンドダルシマーハープシコードなどを演奏しており、デュオとは思えない多彩な音作りに驚かされます。
 
 英トラッドを基調としながらも、民族楽器などをフィーチャーしており、よく言われるようにヒッピー感覚に溢れたサイケデリック・フォークなサウンド
 実際に歌詞カードを見ても、自然崇拝、東洋的神秘主義など、モロにヒッピーな思想が伺われます。
 非常にメッセージ性の強い楽曲が並んではいるものの、英語を解せない者が聴く限りでは、トラッドなサウンドに珍妙な音が散りばめられたアシッド・フォークという印象で、サイケ度が高いと言うよりヘンテコ度が高いように思えます。
 難解な歌詞とは程遠い、のんびりとした緩やかさ、フリーな空気が好い感じであり、またその珍妙さはストレンジ・ミュージック・ファンにとっては、大変に素敵なアルバムなんです。
 
 普通にフォーク・ロックしている曲に突然シタールが響き始める、冒頭の『Koeeoaddi There』からヘンテコな雰囲気がじわじわ。
 それが爆発するのが大作の『A Very Cellular Song』。トラッドなオルガンの響きがサイケ風に聴こえるオープニングに始まり、インド音楽なリズムやアラブ風の旋律が飛び出したりなど、何度聴いても次に何が出てくるのかよく分からないアレンジが素敵。
 牧歌的な歌声がエクスペリメンタルに切り刻まれていくような『The Water Song』が一番のお気に入りです。