本日の1枚

 Sunforest / Sound Of Sunforest (CD)

サウンド・オブ・サンフォレスト(紙ジャケット仕様)

サウンド・オブ・サンフォレスト(紙ジャケット仕様)

 
 女2人、男1人でほにゃーっとしたコーラスを聴かせる、フラワーなドリーミー・ポップ・グループ
 この盤は、1969年にリリースされた唯一のアルバムで、そのうち2曲がキューブリックの「時計仕掛けのオレンジ」のサントラに収録されています。(ただし、ヴァージョン違い)
 
 フラワーな雰囲気のジャケどおりのサイケ・ポップなアルバムなんだけど、米国の大学でクラシック音楽を学んだテリー・タッカー(ヴォーカルの女性の片方)がほとんどの楽曲を手掛けたこともあり、優美なストリングスやチェロなどによる室内管弦楽の要素が非常に大きく反映させられています。
 また、英国らしいアシッド・フォークな一面もあれば、コーラスの重ね方などにはソフト・ロックなテイストも感じられます。
 それらが絶妙に合わさって、へなへなしたサイケ加減が素敵なポップ・アルバムに仕上がってるんですね。
 
 オープニングの『Overture To The Sun』は「時計仕掛け」で使われた曲で、バロック調なアレンジの室内楽小品。
 続く『Where Are You』はどんよりしたサイケ・ポップ、『Bonny River』は端正なフォーキー・ポップと、『Be Like Me』はサイケな聖歌風、『Mr.Bumble』は格調高めのフィメール・フォーク・・・、と、やや遅れた時代を多方面から反映した多彩なサウンドが面白いです。
 6曲目まではややダウナーな雰囲気が続いたのが一転し、7曲目からは突然コミカルな曲が始まります。
 コミカルさで特に素敵なのが『Lighthouse Keeper』。これも「時計仕掛け」で使われた曲ですが、ちょっぴりアホっぽい効果音やファニーな歌声が楽しい。
 一番のお気に入りなのが、『Lady Next Door』。この曲もコミカルな流れでスタートしますが、ブンブンと音圧の高いベースが響き始め、60'sガール・ポップなコーラスが重なります。いきなりサイケ・ポップに転調してはまた元に戻る珍妙なアレンジもとても素晴らしい。
 サージェント・ペパーズ・チルドレンな『Magicians In The Mountain』の後、12曲目からはクラシカルなアレンジのフォーキー・ポップが続きます。
 ここでのお気に入りは、やる気のないコーラスを格調高げに織り重ねた『Give Me All Your Loving』。中盤の意味不明な盛り上げ方も素敵。