本日の1枚

 Telex / How Do You Dance? (CD)

How Do You Dance [Analog]

How Do You Dance [Analog]

 
 テクノ・ポップ創始期を代表するベルギーのおっさん3人組が、前作「Looney Tunes」から約20年振りの2006年にリリースしたアルバム。
 なぜ今になって? クラフトワークの再活動などに触発されたのでしょうか。
 エレクトロニカ・ポップやディスコ・パンクなどが80's エレクトロ・ポップへの回帰志向を見せたことで、俺たちの時代が来た!とでも思ったのかもしれません。
 それにしてはちょっとタイミングが遅かったようで、意外に(?)あまり話題にならなかったことがファンとしては非常に残念です。
 
 内容のほうは、強めのビートにビヨビヨしたアナログ・シンセの音色とピコピコした電子音を乗せたエレ・ディスコな楽曲の連続で、オールド・テクノ・ポップ・ファンにはたまらないアルバムです。
 例えばクラフトワークが新作にデトロイト・テクノエレクトロニカなどを呑み込むことで、テクノ・ミュージックのオリジネーターとしての実力を見せつけたことに対して、こちらのテレックスの場合は、あくまでも昔ながらのピコピコしたテクノ・ポップにこだわることでオリジネーター振りを発揮しているようです。
 これがテクノ・ポップだ、て自信と勢いに満ちていて、実際にとてもカッコ良くて心地良いですよ。
 
 オープニングの『On The Road Again』から、ヴォコーダー越しのロボ声とビヨビヨしたシンセ音でゴリゴリに押しまくりです。
 タイトル曲『How Do You Dance?』は、メタリックなボディ・ビートにサンプリングを重ねた疾走感あふれる曲で、古臭い手法でもカッコ良い曲を作れるぞ、て感じですね。
 『#1 Song In Heaven』はスパークスのカヴァー。後期クラフトワーク的な浮遊感のあるポップさがとても心地良くて、この盤では一番のお気に入りです。
 『White Noise』のようにエレクトロニカの源流としての位置付けを見出せるような曲もあれば、『Jailhouse Rock』や『La Bamba』のようなアホらしいカヴァーで笑わせてくれるサービス精神も、このユニットの色褪せない魅力ですね。