本日の1枚
The Folklords / Release The Sunshine (CD)
カナダのサイケデリック・フォーク・グループが、1969年にリリースした唯一のアルバム。
ジャケどおりに、ぼんやりとドリーミーなサウンド。と言っても、ジャケ写のような青い空は感じられず、どんよりと重たい曇り空な印象です。
メンバーは男2人と女1人の3人組。それぞれが歌とコーラス、楽器はギターとベース、オートハープを担当しています。
エコーなどを多用した幻想的なサウンドは、例えばシューゲイザー系のような耽美的なものではなく、あくまでもぼんやりと虚ろな世界が広がっていくよう。内省的に自分の世界を作り上げているのではなく、霧の中をへらへらと何も考えずに彷徨っているような感じがします。
抑揚の少ないドリーミーなメロディも、視点の定まらない虚ろなヴォーカルも、「まどろみ」という言葉がピッタリで、まさにぬるま湯に浸る快感を感じます。
オープニングの『Jennifer Lee』から、ふわふわと心地良いドリーミーさが広がります。刺激の少ないメロディは意外にキャッチーで、ついつい口ずさんでしまうポップさもまた魅力的です。
3曲目『Child』や9曲目『We'll Love Like Before』のように、ソフト・ロッキンなメロディとコーラスにもかかわらず、どうにも後ろ向きな虚脱感が支配しているところがなんとも素敵です。
4曲目『Unspoken Love』や11曲目『Don't Look Back』なんかには、80's 英国アノラック・サウンドと同質のまどろみセンスを感じます。
一番のお気に入りは6曲目の『Forty Second River』。やる気のない歌声とひしゃげたアコギの音色が織り成すダウナーなドリーミーさが、出口の無い空間を彷徨う悪夢のように心地良い。