本日の1枚

 細野トリビュートつながりで。
 
 細野晴臣 / HOSONO HOUSE (CD)

HOSONO HOUSE

HOSONO HOUSE

 はっぴいえんど解散後、自宅で録音したファースト・アルバム。松任谷正隆林立夫鈴木茂の3人が参加しています。
 僕は世代柄、まずはYMOから細野氏の音楽に触れ、それからトロピカル3部作まで遡って聴いていきました。
 そして、ようやくこのファースト・ソロ・アルバムを初めて聴いたときは、正直なところ、うーん、て感じ。全然受け入れられず、そのまま棚の奥へと移動。
 テクノ・ポップ好きの少年が理解するには、もうちょっと音楽体験が必要だったようです。
 
 ジェイムス・テイラー『スウィート・ベイビー・ジェイムス』を目指したといわれるこのアルバム、基本的にはカントリー・ロックなテイストの、シンプルで飾り気のない作られ方をしています。
 しかし、演奏はのんびりしたライヴ感に溢れながらも、決して粗野な雰囲気はなく、どこか洒落てるんですねえ。
 
 僕が細野晴臣の何に惹かれるのかといえば、さらりとした混沌やゾクゾクくるのんびり感とかなんですが、それはまあその音楽の多様性と天才的なリズム感に尽きます。
 しかし、このファースト・アルバムでは、それ以上に歌詞に惹かれました。歌詞カードを見てるだけでタメ息が出てきますね。
 『終りの季節』とか『恋は桃色』とか、内省的でありながらも煮えたぎる情熱をさらりと表現してみせる、すっごく素敵な恋愛ソングですね。
 
 十代の頃に全く理解できなかったこのアルバムが、いつの間にか無人島レコードの1枚といっていいくらい好きになっていました。
 今の自分の音楽の趣味の幅広さは、細野晴臣の作品を聴いて培われたものであろうと確信しております。