本日の1枚

 はっぴいえんど / Happy End (CD)

HAPPY END

HAPPY END

 はっぴいえんどが残した3枚のアルバムのうち、どれが名盤かといえばやはり「風街ろまん」に軍配が上がりそうな気がしますが、その後、一体感を失ったなかでリリースされたこのアルバムが実は僕は一番好きなんです。
 絡み合っていた4人の個性がバラバラに解れて、向かうべき方向が明確になってきていることが楽曲に現れているにも関わらず、歯車がかみ合ってない印象は全然受けません。なんというか、各人が超然と仕事をこなしている感があります。
 ヴァン・ダイク・パークスがプロデュースし、ロスで録音。ライナーによると、細野氏と大瀧氏は現地入りしてから曲作りを始めたとのこと。急ごしらえとは思えない完成度の高さ、音や詞に対するセンスに驚きです。
 
 特にお気に入りは細野楽曲。オープニングの『風来坊』は細野楽曲。柔らかくグルーヴィな演奏に乗せてフンワリとした歌が漂う、メロウ・ファンキーな逸品ですね。
 『無風状態』は、洒落た印象のメロディをグイグイと引っ張るベースがカッコ良い。適度な脱力加減は、「HOSONO HOUSE」へと通じていくのでしょう。
 『相合傘』は、カントリー・ロックな曲調ながらやはり都会的な洗練さ。ファンキーなギターの刻みも好し。
 
 松本+鈴木作品では、『明日あたりはきっと春』が大好き。メロウなジャジーさとじんわり暖かなメロディ、緩やかに青春してるコーラスがなんとも心地良く聴けます。
 大瀧作品には、米国のポップ・ミュージックへの嗜好が強く出ていて、ジャケどおりのイメージですね。
 
 ラストを飾る『さよならアメリカさよならニッポン』は、ヴァン・ダイク・パークスがアレンジを担当しています。ゴージャスな厚みに組み立てられながらも、押し寄せるヘロヘロした音の歪みに圧倒されます。ラリってたのか、ヴァン・ダイク。