本日の１枚

　寺尾紗穂 / 御身 (CD)

御身onmi

　レコ屋等の評には「ピアノは矢野顕子、声は吉田美奈子、歌い方は大貫妙子」と謳われていたのですが、半信半疑で聴いてみて、それが決して大袈裟な表現ではないと思えました。
　なんでも元シュガーベイブのベーシスト、寺尾次郎の娘さんだとか。
　
　ピアノの弾き語りを中心した演奏は、決して斬新な耳ざわりのものではないんだけれど、そのどこかで聴いたようなノスタルジックな音色がすんなりと耳に入り込みます。
　シンプルな構成でもジッと聴かせるのは、もちろん楽曲自体の質の高さによるものでしょう。
　そして魅力的な声。
　優しげなようで哀しげで、諦念から溢れる慈愛のようなものを感じる歌声です。
　なんとなくティンパン系の楽曲ではあるものの、その歌声のおかげで、都会的な孤独感にちょっぴり古風な空気が漂っています。
　すっかりハマってしまって、ここ最近このアルバムばかりリピートしています。
　
　モロに涙腺を潤すような曲もいいんだけれど、小粋なリズム感の『ペッパ＆ソルト』、ラテン・フィーリングな『ねえ、彗星』あたりがお気に入りです。