本日の1枚

 アーント・サリー / アーント・サリー (CD)

アーント・サリー

アーント・サリー

 久々にセレクト仲間の皆さんのブログなどを見ていると、今月の初めくらいに「日本のロック・ベスト・アルバム25」というブームがあったようです。
 ちょっと遅すぎる反応ですが、ベスト25、難しいですねぇ。
 とりあえず、最初に頭に浮かんだのがこのアルバムです。
 
 僕くらいの年代で関西に住んでいてパンク/ニュー・ウェーヴな音楽を聴いていた人であれば、アーント・サリー町田町蔵に多大な影響を受けた人は少なくないでしょう。
 さて、そのアーント・サリー唯一のアルバムがこれ。
 1979年に大阪のVanityレーバルから500枚限定でリリースされました。たった500枚限定にも関わらず、その衝撃は関西中を駆け巡りました。僕もダビングのダビングの・・・ダビングされた音の悪いカセットテープで聴いてました。
 
 スカスカでラフな演奏も好いのですが、このバンドはやはりPhewのヴォーカルに尽きます。
 気だるいというよりも投げやりな歌声は、厭世感や諦念が満ちていて、毒々しいというよりも痛々しく突き刺さります。
 激しい音にシャウトする凡百のパンク・バンドよりも、「どーでもいいわー」と吐き捨てるPhewの歌声のほうが、どれだけアナーキーに聴こえることか。
 
 あと、再発CDの解説文で戸川純が指摘しているように、実はメロディがポップなんですね。ゾクッとするような怖めな歌であれ、ついつい口ずさんでしまうキャッチーさが素敵すぎます。
 
 「どーでもいいわー」と繰り返す、オープニングの『Aunt Sally』が秀逸。このアルバムの魅力を濃縮しています。
 文学少女趣味な歌詞がちょっと怖い『醒めた火事場で』、一応モロにパンクしている『すべて売り物』あたりがお気に入りです。