本日の1枚

 ベン・シドランのアルバムもドドーンと紙ジャケで再発されていますね。
 僕が初めてベン・シドランを知ったのは、20年ほど前、友人がエアチェック&編集したテープにとってもカッコ良い曲が入っていたから。
 当時僕はAORが大嫌いだったんだけど、グルーヴィでファンキーな楽曲の素晴らしさは、AORに分類される音楽への偏見を吹き飛ばしてくれました。
 特にファースト・アルバムに惹かれてたんだけど、中古レコ屋に手頃な値段で売ってなかったので、後になってCD再発されたときは大喜びしたものです。
 
 Ben Sidran / Feel Your Groove (CD)

夢の世界(紙ジャケット仕様)

夢の世界(紙ジャケット仕様)

 
 これは1971年にリリースされたファースト・アルバム。
 ボズ・スギャッグスやジェシエド・デイヴィス、ブルー・ミッチェルなど豪華なゲストを迎え、彼のグルーヴィな魅力が濃縮されたような仕上がりとなっています。
 全体的にドーンと重いグルーヴィさに満ちていて、非常に土着的な印象を受けます。荒削りな感触の音なんだけど、でもよく聴くとアレンジは結構洗練されているんですけど。
 ブルージーなものやサイケ・ロック調のものもあるけど、基本はソウル・ジャズジャズ・ファンク風な楽曲が中心。
 
 ちなみにエアチェックで聴いたのは『About Love』。ウッド・ベースが紡ぐ重いグルーヴ感にギターの刻みが軽やかさを付す、洒落たアレンジも素敵なメロウ・グルーヴィな楽曲。そっと被さる女性コーラスも素晴らしい。その頃(80年代終わり)流行っていた「レア・グルーヴ」て言葉が思い浮かびます。
 
 冒頭の酔っ払いセッションな『Leo's My Name』の賑やかさに粋を感じていると、続く『Poor Girl』のいきなりのグルーヴィなオルガンの音色でガツンとやられます。クールな歌声との対比で浮かび上がるファンキーさも素敵。
 小粋に南部風な『Racine Bovine』でのつぶやきヴォーカルもいい味だし、タイトル曲『Feel Your Groove』は朝もやのメロウ・グルーヴィさがじんわりと響きます。
 ややサイケ調のグルーヴィ・ロックな『That Fine Day』、スウィンギンなファンキーさが魅力の『Alexander's Rag Time Brand』などなど、とにかくカッコ良い曲が目白押しのアルバムです。