本日の1枚

 湯川潮音 / 灰色とわたし (CD)

灰色とわたし

灰色とわたし

 
 単身で渡英、制作したアルバム。ロンドンの郊外で録音したそうです。
 非常にシンプルなアコースティック・サウンドで、これまで素晴らしいと思っていた彼女の作品がかすんでしまうくらいの出来栄え。
 陳腐な表現ですが、最高傑作です。
 メリー・ホプキン『Voyage Of The Moon』をカヴァーしてることから、当然意識はしてるんでしょうが、かなり英国フォーク的な佇まいを感じますね。
 
 結構重いベースを下地に、軽やかで穏やかなアコギの刻み、彩りを添えるヴィオラなどの音色により、ジェントルな木漏れ日フォークな音世界です。
 英国フォーク的と前述しましたが、メロディはまぁモロに英国フォーク的なんですけど、いわゆる英国的な陰影は薄いし、アシッドな雰囲気もないんですが、伸び伸びと牧歌的に暖かな空気感が素敵なんです。
 
 そして、歌声。
 オープニング『風よ吹かないで』の歌いだし、「風よーどうか吹かないでいて」って、わずか5秒ほどの歌声を聴いただけで鳥肌が立ちました。
 凛とした気品、可憐さに秘めた力強さ。メリー・ホプキンやアン・ブリッグスなどの英国フォークの歌姫たちに感じる魅力が、その5秒だけにも詰まってるように思えました。
 曲によっては、高音部の美しい透明感からバーバラ・ガスキンを思い浮かべたりもします。
 シンプルな楽曲が、彼女の歌声の魅力を最大限に引き出してますね。
 
 とりあえずいきなりの印象深さから『風よ吹かないで』が一番のお気に入り曲ですが、アコギの優しい刻みが素敵な『見つめてごらん』、歌声の美しい躍動感が素敵な『しずくのカーテン』、美しく透きとおる歌声が素敵な『明日になれば』、メリー・ホプキンよりも素敵な『Voyage Of The Moon』あたりがお気に入りです。
 というか、全曲お気に入りなんですけどね。
 
 久々に、生涯聴き続けそうな名盤に巡り合えたような気持ち。
 パフュームを抜いて、今のところ今年度ナンバーワンのアルバムです!
 
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