本日の１枚 雪と花の子守唄
V.A. / 雪と花の子守唄 〜バカラック・ララバイ集〜(CD)
鈴木惣一朗プロデュースによるビートルズ・カヴァー集「りんごの子守唄」の続編がリリースされました。今度はバカラックのカヴァー集です。
参加アーティストは、千葉はな、コトリンゴ、Saigenji、土岐麻子、永山マキ（モダーン今夜）、さかいゆう、おおはた雄一、Rachael Dadd、ルースフォンチ、アン・サリー。
これまたララバイなカヴァー集なので、どの曲もシンプルで優しいアレンジが施されています。それが故に、各曲の魅力の本質が浮かび上がりますね。
多くは誰もが知ってるヒット曲なので、まずはメロディのキャッチーさが耳に残るんですけど、気が付くと変容しているリズムの複雑さ、スルッと方向を変える音の動きの多様さに改めて感じ入りました。
でも何も考えずに聴いてると、優しく甘美なバカラック節に心を打たれますし。やっぱ素晴らしいですね、バカラック。
さて、ビートルズのときもそうでしたが、この企画に参加するのって相当の覚悟が要ると思うんですよ、ほぼ歌声だけの勝負ですから。前述のとおり、バカラックの曲って微妙に転調を繰り返したりするので、結構歌いにくいですしね。
しかしさすが皆さん、各人の個性を出しつつ見事に料理されてます。
まずは、『Close To You』（千葉はな）でスタート。この人こんな声だった？と思うほど、奥深く艶のあるジャジーな歌声にビビリました。
寒々しい中にほんのりと暖かみを感じる『The April Fools』（コトリンゴ）、アーバン・メロウな『Painted From Memory』（Saigenji）、穏やかなウキウキ感に心和む『Magic Moments』（土岐麻子）とか、どれも素敵な味わい。
たぶんこの盤の目玉はアン・サリーが未発表曲をカヴァーした『Someday』でしょう。洒落たソフトなアレンジに、ソウル感もありながら慈愛溢れる歌声が素敵です。
一番のお気に入りは、おおはた雄一による『Me Japanese Boy I Love You』でした。軽やかにエキゾ・テイストなアレンジから滲み出る密やかな多幸感が素敵で、ピチカートのカヴァーよりもいいぞ！
