本日の1本 ダイアリー・オブ・ザ・デッド

 ダイアリー・オブ・ザ・デッド

 
 卒業制作の映画を撮ってる学生たちのもとに、死体が蘇って人々を襲っているニュースが飛びこんでくる。使命を感じたジェイソンは、周りに起こるすべての出来事をカメラに残すことを決意するが、、、というストーリーです。
 
 ジョージ・A・ロメロのシリーズ(?)最新作です。
 前作「ランド・オブ・ザ・デッド」までと比べると、随分と地味な作品です。学生が自分の経験を記録した映像、て設定なのでまぁ仕方ないですけど、ちょっと残念な気持ちも強いですね。
 「ランド〜」で描かれた知性をもったゾンビへの進化とか、期待した新たな展開は全くなくって、旧来の普通のゾンビが登場するだけなのもまた残念でした。
 
 ゾンビ作品を発表するごとに新たな社会風刺を加えるロメロですが、今回やり玉にあげられたのは、氾濫する情報への信頼性の欠如。
 大手メディアは情報を操作し、ゾンビに関する危険情報を隠そうとします。逆に、大勢のネット住民たちがブログやYouTubeに不確かな情報を大量にアップしていきます。この両方の情報から大きな混乱が生み出されていくのです。
 メディアの情報操作を批判するだけに終わらず、ネットでの情報過多についても警鐘を鳴らす。もう70歳のロメロ、さすがに目の付けどころは素晴らしいですね。
 
 ただねぇ、やっぱ正直イマイチ感を否めない作品です。まずもって、ゾンビが全然怖くない。主人公たちの言動にも全然リアリティがないし、恐怖感が伝わってこない。これは致命的ですな。
 初めてゾンビを殺した仲間の女の子は、「人」を殺した自責の念から自殺してしまいます。ところが、主人公を含め、人々は徐々にゾンビを殺すことに慣れていき、ラストでは暇つぶしにゾンビを殺す映像をネットにアップする者まで出てきます。
 この恐るべき人間の本質を掘り下げれば、もっと「怖い」作品に仕上がったのではないかと思うんですけどね。
 
 あと、人体破壊シーンが少ないのが、ゾンビ映画ファンとしてはやっぱ物足りなく感じちゃいますね。
 
 こんなシーンがもっと欲しかった!