本日の1枚 コシミハル

 コシミハル / 覗き窓 (CD)

覗き窓

覗き窓

 
 2008年にリリースされたアルバム。彼女が毎年行っている歌劇『Musipue-Hall』のサントラという位置付けの盤。作詞、作曲からプログラミングまで、完全なセルフ・プロデュースで仕上げられているそうです。
 コシミハルの作品を聴くのはたぶん15年振りくらいになります。その当時、僕の中では実験的でキッチュなテクノ・ポップ歌姫というイメージで彼女の作品を聴いてました。
 で、古き良きパリの音楽といった趣のこの作品、ノスタルジックなフレンチ・ポップの様相を呈しているけれど、その背後にはやっぱり昔に感じていた実験的なセンスを感じますね。
 それが全然わざとらしくなくシャンソンに見事に溶け込んでいるようで、ノスタルジックな気分で聴いていてもいつの間にかゾクゾクしちゃいます。
 また、悪い意味でキッチュな雰囲気はなくなり、むしろ円熟味を帯びた上品さを感じます。
 
 クラシカルなアレンジの中に生音エレクトロニカ・ポップな色彩が光る『Chidori』や『Petits pieds』、フランス語での呟きがキュートな『Felicite』なんかがお気に入り。この曲に限らず、歌声とサウンドから溢れる上品なエロティックさが好いですね。
 歌劇は見たことないんですけど、この音楽が舞台で活かされる様をぜひ堪能してみたいですね。
 全12曲ですが30分ちょっとで終わってしまいます。その短さに世界観が凝縮されているのですが、やっぱもっと聴きたいとか思っちゃいます。