本日の1枚 American Gypsy

 American Gypsy / American Gypsy (CD)

アメリカン・ジプシー

アメリカン・ジプシー

 
 オランダ産のジャズ・ファンクなバンド、1975年リリースのアルバム。
 レコ屋の謳い文句には「フォーキー・ソウル幻の名盤」みたいなことが書いてあったので、まずは冒頭の『Inside Out』を聴いて軽くビックリしました。
 多様な楽器を使ったコズミックなジャズ・ファンクで、おいおい、これのどこがフォーキーなのよ、と突っ込みたくなったり。いや、イイ曲なんですけどね。
 
 でも、続く『10,000 Miles』は、まさにフォーキー・グルーヴな逸品。
 アコースティックな楽器を活かした穏やかメロウなアレンジも秀逸ですし、慈愛感いっぱいの低音ヴォーカルも爽やかなコーラスも素晴らしい。
 
 そう、その渋い低音ヴォーカルこそがこのグループの最大の魅力かもしれません。
 前述のように穏やかだったり、クールだったり、熱くファンキーだったり、表現力もなかなかのもの。
 基本的にバリトンジャズ・ファンクとの相性ってイイと思うんですけど、ファンキーな楽曲にちょっとフニャっとした柔らかさのあるアレンジを効かせたうえで響く低音の歌声は、あんまり他では味わったことのないようなカッコ良さがあります。
 
 軽やかファンキーなダンサー曲『Angel Eyes』、洒落たファンキーさが素敵なアーバン・ディスコ『Stuck On You』など、ストリングスのアレンジが秀逸なディスコ曲がお気に入り。
 が、この盤で一番なのはと問われれば、やはりフリー・ソウル界隈で名曲と名高い『Golden Ring』でしょう。
 穏やかなフォーキー・ソウルから高揚感たっぷりのブラジリアン・フュージョンに展開していくアレンジがたまらなくカッコ良い。
 サウンドも一級だけど、クールさに諦念を滲ませたようなヴォーカルが好いのですよ。
 
 
 Golden Ring