本日の1枚 Tee And Cara
Tee And Cara / As They Are (CD)
- アーティスト: Tee & Cara
- 出版社/メーカー: Rev-Ola
- 発売日: 2009/10/20
- メディア: CD
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ニューヨークの男女フォーク・デュオ、1968年にリリースした唯一のアルバム。
穏やかなコーラスが心地良く、また室内楽器を中心に据えたアレンジはバロック・ポップ風ではあり、ソフト・ロック・ファンにも人気の盤だそうですが、僕が受けた印象はとてもダウナーなものでした。
ソフロ・ファンとしてではなく、アシッド・フォーク・ファンとして反応してしまう名盤であります。
繊細な歌声と音はどこか幻想的で、アルバム全体がどんよりと曇った空気に覆われているよう。
メロディはポップなものばかりだし、甘くソフト・ロッキンなアレンジ、アップテンポな曲もあれば躍動的であるはずの歌詞の曲もあるのに、でもどれも内省的なフォーク・ソングに聴こえてしまうマジカルさが好いですね。
まずは冒頭の『Don't Ask Me Why』。穏やかなハーモニーがじんわり響くソフト・ロッキンなテイストのフォーキー・ポップなんだけど、なんでだか漂っている遣る瀬無い空気感がたまらない逸品。
続く『Keeping Track』も、歌声の微妙なダルさとジャジーな演奏が醸し出す柔らかな浮遊感が素敵で、この2曲の流れが最高だなぁ。
精一杯ファンキーに歌うガーシュインの『I Got Plenty Of Nuttin'』、哀愁たっぷりのメロディが染み入る『I Don't Think I Know Her』、
カラフルな音なのにモノクロな色彩感のポップ・サイケ『Just Thinkin'』、ジェントルな掛け合いに涙腺も緩む『Nothing To You』、
穏やかな秋の日に聴きたいドリーミーさ、まどろみ感が素敵な曲が続きます。
面白さの極めつけは『A Hard Day's Night』の陰鬱に美しいカヴァー。
かなりの遅めのリズムに乗せて憂いを帯びたハーモニーと流麗なストリングス・アレンジが発するダウナーな雰囲気がもうたまりません。