本日の1枚 Thistletown

 Thistletown / Rosemarie (CD)

Rosemarie

Rosemarie

 
 英国の5人組フォーク・バンド。2008年リリースのファースト・アルバム。
 デヴェンドラ以降に現れたバンドなので、当然ながらフリー・フォークな系譜にも属するのでしょうが、まずは冒頭の『Rosemarie』を聴いて驚きました。
 
 民族的なリズムに乗せてアコギやマンドリンなどの音色が響くのですが、非常に古めかしい伝統的なサウンドで、まるで1960年代のトラッドなアルバムを聴いているような印象を受けます。
 しかもリコーダーや弦楽器などの音色により、とてもカラフルな色調に彩られています。派手さはなく、上品な彩りが素敵なのです。
 また、パーカッションなどの打楽器と演奏全体が相俟って生み出す「うねり」も素晴らしい。思い切りトラッドな楽曲なのに、そのへんのダンス・ミュージックを遥かに凌駕するグルーヴ感に溢れています。
 
 そしてそして、何より素晴らしいのは、儚げに美しい2人の女性ヴォーカル。
 線の細い上品なソプラノ・ヴォーカルが起伏を抑えたメロディを辿ることにより、前述のグルーヴィさに加え、ドリーミーなアシッド感を高めています。
 この遣る瀬無い美しさ、カラフルめなアシッド・フォーク好きなら、心を鷲づかみにされること間違いありません。
 
 反復されるリズムによる呪術的な「うねり」に惹きこまれる『Gloworm』や『Under The Trees』、
 プログレ・ポップ的な『Labyrinth』、ノスタルジックなワルツ『Moon Is A Pearl』、
 歌声の美しさが際立つ『Sun Is Coming Up』など、どの曲も素晴らしい魅力を放っていますが、
 一番のお気に入りは、やはりあまりにも衝撃的だった『Rosemarie』かなぁ。今のところ(まだ1ヶ月ちょいですが)、今年聴いた中ではベストな曲であります。
 あー、どうして2年間もこんな良作に気づかなかったんだろう・・・。
 
 
 Under The Trees(リハ)