本日の1冊 首鳴り姫

首鳴り姫

首鳴り姫

 衝撃的なまでに傑作であった。
 不器用な男女の進展の遅い恋愛が淡々と描かれるのですが、全体を貫くシンとした静けさが素晴らしい。特に、夜の街を彷徨い歩く場面とかね。
 他人の気持ちが分からない男と、社会にイラつき傷つく女。あぁ、まるで学生時代の自分を見ているかのようなリアルさに襲われます。僕だけかもしれないですけど。
 冨来子が挙げる好きな音楽家の名前を見て、さらに共感を覚える。時代も同じなんだ。
 そういや、A.R.Kaneってあんな耽美な音楽をやってるのに黒人だったよな、とかどうでもいいことまで思い出してまたまた胸キュン。