本日の1枚 Lene Lovich

 Lene Lovich / Stateless (LP)

Stateless Plus

Stateless Plus

 
 1980年代初頭のニュー・ウェーヴ・シーンを牽引する存在だったにも関わらず、すっかり忘れられてしまったリーナ・ラヴィッチ。時代の徒花だったのか、いや、確かに当時は圧倒的な存在感を放っていたのですよ。
 これは1979年にリリースしたファースト・アルバム。
 ちょうどシンセの音色が多用され始めた時期のニュー・ウェーヴ・サウンドなんですけど、全体を包む微妙にエキゾチックなアレンジが好いのです。
 
 ちょいとストレンジなサウンドに、オペラ風の歌唱スタイル。なので当時はニナ・ハーゲンと比較されたりしていましたが、ニナ・ハーゲンの派手派手しい色合いの毒気と比べると、マイルドというかモノクロなイメージですね、ジャケどおりに。音楽的にはおとなしめでも、異端臭はプンプンと発しておりました。
 あとはまぁ、演劇的な歌声がちょいとキュートだったりします。
 
 いかにもニュー・ウェーヴ的な音とオペラ唱法が当時は斬新に感じた『Sleeping Beauty』、ドコドコしたリズムでゴス系パンキッシュな『Say When』とか、よく聴いていたなぁ、とか懐かしい気分に浸る。
 
 今も昔も一番のお気に入りは、やっぱり『Lucky Number』。
 2トーンなリズムを基軸にしたテクノ・ポップ・サウンドの上に、軽やかに跳ねるキッチュな高音ヴォーカルが素敵すぎ。この声を一度聴いたら、何十年経っても耳から離れません。
 そういえばこの曲って、件のニナ・ハーゲンもカヴァーしてたような気がする。
 
 どうやらCDで再発されたようですが、そちらのボートラには、『I Think We're Alone Now』の日本語ヴァージョンが収録されているとか。ちょっと聴いてみたいなぁ。
 
 
 Lucky Number