本日の1枚 Deerhunter

 Deerhunter / Microcastle (CD)

Microcastle

Microcastle

 
 シューゲイザー系譜の筆頭格、みたいな紹介文を読んで気になってたバンドなんですが、2008年にリリースされたこの3枚目のアルバムを聴いてみました。
 豪華2枚組で、1枚目の本編に「Microcastle」、2枚目のオマケ(?)に「Weird Era」とタイトルが付いています。
 
 まず「Microcastle」冒頭の『Cover Me (Slowly)』は美しくどんよりした音の波がもう「ラヴレス」っぽいんだけど、他の曲もそんな感じのが多い。轟音ギター系ではなく、甘く耽美な路線であります。
 と書きましたけど、実はマイブラなんかとはかなり雰囲気は異なります。何と言いましょうか、かなり「ゆるい」音。そして、ちょいとスペイシー。
 耽美派というよりもリゾート的な緩さも感じ、その中にグネグネした感性が光ります。そう、米国西海岸のサイケ・サウンドに共通するような感性に思えます。
 
 特にアルバム・タイトル曲の『Microcastle』やそれに続く『Calvary Scars』など、ぼんやりドリーミーな白昼夢的ダルさ、虚ろなサイケ加減がなんともいい味を出しております。
 そのへんにはエレクトロニカ的な感性も感じたりして、確かにシューゲイザーに括られる音楽でしょうが、あくまでも2000年代のサウンド。まぁ当たり前か。
 
 アルバム本編では、80'sニュー・ウェーヴな雰囲気も好い轟音系の『Nothing Ever Happened』、電子音も飛び交う耽美系の『Twilight At Carbon Lake』とかがお気に入り。
 
 で、オマケな位置づけの「Weird Era」ですが、こちらには本編とはちょっと異なる雰囲気のものが集められており、これはこれでまた好い。
 歪んだギターの音が鳴り響くインスト曲やダブっぽいのとか、割とエクスペリメンタルなのが多いかな。なんとなく、ひと昔前のドローンなシューゲイザー系のグネグネ感を感じたり。
 こちらでは『Vox Celeste』や『Calvary Scars II/Aux. Out』といった、轟音の渦に儚い歌声が漂うタイプのやつがお気に入りでした。
 
 
 Cover Me (Slowly)
 
 
 Nothing Ever Happened