本日の1枚 Kraftwerk

 Kraftwerk / The Man Machine (CD)

Man Machine

Man Machine

 
 1978年にリリースされたアルバム。邦題は「人間解体」。
 初期のエクスペリメンタルな感性が払拭され、完全にポップ路線へと転じたという点で記念すべきアルバムでしょう。
 音のほうは今聴くとあまりにもチープなんですけどね。例えば冒頭『The Robots』、安物シンセな音色があんまりにも酷く感じたりしちゃいますが、そのチープさが放つピュアな魅力はテクノ・ポップのあるべき姿を示唆しているように思えます。
 YMOなんかだとモンド的な感性、音楽的な幅の広さがくっついてきたりするじゃないですか。
 あくまでも電子音楽としてポップであること。その原初的な勢いが魅力なのでありますよ。
 また、近未来的でありながら無国籍なメロディ・センスも好し。なんかそのままセニョール・ココナッツへと受け継がれているかのように思えます。
 
 鉄腕アトム主題歌のオープニングみたいな『Spacelab』、古いSF映画のサントラのような『Metropolis』とか、懐かしい未来世界観がメランコリックな感情を刺激します。
 昔大好きだった『The Model』は、こんな薄っぺらい音だったのかと微妙にがっかりしちゃいましたが、シンセ・ポップ時代の幕開けを象徴するかのような音作りとアレンジはやはり名曲といっていいでしょう。
 『Neon Lights』の美しさや『The Man Machine』の硬質な打ち込み感なども、やはりテクノ・ポップ本来の輝きを放っているように思えます。
 
 あと、このアルバムといえば、ジャケのカッコ良さを抜きにしては語れないでしょう。
 音楽よりもむしろこのジャケこそが、その後のテクノ・ポップの道筋をアプリオリに示しているではありませんか。
 
 
 The Model