本日の1枚 □□□

 □□□ / Everyday Is A Symphony (CD)

everyday is a symphony

everyday is a symphony

 
 いとうせいこうがメンバーに加入後、2009年にリリースしたアルバム。
 というか、いとうせいこうって・・・。高校生の時に「建設的」を聴いた世代としては、嬉しいような気恥ずかしいような複雑な気分。
 さてこのアルバム、全編を日常生活にあふれる様々な音をゴチャゴチャとサンプリングして作り上げています。そういうのってまぁやたら実験的すぎて聞き苦しかったり、やたら奇をてらって「ネタ」的な面白さが前面に出されてたり、要するに作り手側の独りよがりなモノが多いと思いますけど、この盤の場合はちゃんとポップ・ミュージックとして成立しているのが素晴らしいですね。
 なんとなく、20年前に初めてミートビート・マニフェストを聴いた時のような感覚を覚えました。微妙な間抜けさも含めてカッコ良いのです。
 エレクトロ・ポップな要素も強いですが、アコギでの弾き語り調のモノがあったりとか、密度の高さで満足度もとても高い傑作であります。
 
 冒頭『Everyday』のサンプリング・センスとか、続く『Good Morning!』での電子ノイズの滑らかな使い方とかにも惹かれましたが、3曲目の『Tokyo』の素晴らしさに参りました。初めてこのアルバムを聴いた日は、3曲目ばっかリピートしてしまってその先を聴けなかったのですよ。
 さてその『Tokyo』。電車の車内放送やガタゴト音などのサンプリングの巧みさも好いのですが、エレクトロニカな導入部分からアーバン・メロウな中盤部分への滑らかな移ろいのセンスが素敵すぎます。この練り上げられたセンスにはただ聴き入るしかない。
 ジャネット・ジャクソンの「ひと声」にも思わずニンマリでした。
 
 『卒業』の意味不明な勢い、『海』のカリビアンなモンド加減、どうしても懐かしさが先に立ってしまう『ヒップホップの初期衝動』。
 そして、飛行機系の原点『愛のテーマ』をネタにした『有志の宝くじ』のおバカなカッコ良さ。と、流れもまたいいなぁ。
 キュートなエレクトロ・トラックが素敵な『夢中』は、歌詞にもちょっと驚かされましたし。
 
 お気に入りは前述の『Tokyo』の他、『Re:Re:Re:』と『00:00:00』でした。
 普通なメールのやり取りを歌詞にした『Re:Re:Re:』、時報をリズムに刻む『00:00:00』。両方ともファニーな曲なんだけど、メランコリックなエレクトロ・トラックがなんか泣かせるんだなぁ。
 
 
 Re:Re:Re:
 
 
 00:00:00