本日の1枚 Telegraph Avenue

 Telegraph Avenue / Telegraph Avenue (CD)

TELEGRAPH AVENUE

TELEGRAPH AVENUE

 
 日系人のボー・イチカワが率いる南米ペルーのサイケ・バンド、1971年リリースのアルバム。
 ラテンなリズムにメランコリックなメロディ、日本の歌謡曲的な「何でもあり」感、そしていかにも南米サイケらしい幻覚性ドラッギーなアレンジが何とも素敵な味わいであります。
 混沌としたハッピーさ、哀しさが面白くってたまらない。
 
 まずはまぁなんといっても、冒頭のアルゾ&ユーディーン『Something Going』のカヴァーの凄さに参ります。
 もともとのメロディとアコギの音色はそのままに、コロコロ転がるパーカッションが鳴り響き、「ハッ!」とか威勢のいい掛け声が入ったり、やりたい放題な展開。
 けれどその間の抜けた陽気さの中に、やる瀬ない哀愁が漂うところはさすがに南米サイケであります。
 真夏の白昼夢的にグルグルしたトリッピーなアレンジももちろん南米らしい。
 
 なぜだか美しい曲で泣かせる『Happy』、勢いもあるが憂いもあるラテン・ロックな『Sweet Whatever』、
 甘くドリーミーな『Lauralie』、真面目な歌声が逆にお馬鹿さを強調する『Sungaligali』、
 どサイケだがGS歌謡的でもある『Let Me Start』、ソフトさとファンキーさが交互に襲いくる『Sometimes In Winter』、
 どれも行き詰った陽気さと原色なサイケさが素敵な佳曲が並びます。
 
 ラストは、そんなカラフル・サイケさが素敵にドリーミーな『Telegraph Avenue』で締め。
 LSD的なグネグネした多幸感が、このアルバムを象徴しているかのようであります。
 
 
 Something Going