本日の1枚 相対性理論

 相対性理論 / シンクロニシティーン (CD)

シンクロニシティーン

シンクロニシティーン

 
 もう30年近く前にもなりますが、中学生くらいの頃に音楽、特にパンク、ニュー・ウェーヴなどを聴き始めた当時には、大変な興奮を覚えたものです。
 そんな初期衝動的な興奮をいい年こいたおっさんが味わえる。僕にとって相対性理論の魅力はそんなとこにあります。
 言うまでもなく決して古い音楽を焼き直しているわけではないですし、あくまでも忘れていた感覚を呼び起こしてくれる、という意味でね。
 で、この新譜でもその魅力はますます大きくなってまして、パフュームの新作リリース後なのにこればかりリピートしちゃっております。
 
 バンド・サウンド色が再び濃くなってることや言葉遊びの微妙なセンスの健在さなども書くべきですが、まず特筆すべきは、やくしまるえつこの歌声に様々な表情が現れてきていることでしょう。
 投げやりで平坦な歌い方の印象が強かったのですが、ちょっとしっとりと歌ってみたり、グルーヴィに声を震わせたり、同じ歌声でもかなり違った趣を滲み出すようになりました。
 あとはまぁやっぱメロディのキャッチーさですね。歌詞の語感も含め、一度聴いたらなかなか耳から離れない。気がつけば、つい口ずさんでいる自分がいます。
 
 まずはこれまでのバンド路線曲を踏襲した『シンデレラ』でスタート。語感が生み出すリズム感の素晴らしさに恐れ入ります。
 続く『ミス・パラレルワールド』は、サビのキャッチーさがとにかく凄い。仕事中とかでもふと頭の中で「パラレル、パラレル、」てフレーズが鳴り響いています。テクノ・ポップ的な感性の疾走感も素敵ですね。
 
 歌い方がなんかグルーヴィな『人工衛星』の後に、キュートな歌声が目立つ語感の単語が並ぶ『チャイナアドバイス』、その次はチャイナ風のフレーズが印象的な『(恋は)百年戦争』を持ってきたりとか、アルバム構成のセンスも好いですね。
 
 ファンキーな曲調に言葉遊びを続ける『マイハートハードピンチ』、90年代ギタポ・マナーな『三千万年』、
 これぞ相対性理論的なバンド・サウンドと珍妙ながらキャッチーな歌詞が光る『気になるあの娘』、
 ドラムンなリズムにあんまりな世界観の歌詞に参る『小学館』、メロウさも素晴らしい『ムーンライト銀河』と、どの曲にも強烈な魅力が光っております。
 
 お気に入りは、キュートなラップまで披露する『ペペロンチーノ・キャンディ』。なんかちょっと30年前くらいに聴いてたポスト・パンク的な感性を感じました。
 微妙に転調しながら疾走するポップな勢いも好いですし、そしてこの曲もまたサビのキャッチーさがたまらない。
 
 
 ミス・パラレルワールド
 
 
 ペペロンチーノ・キャンディ