本日の１枚 やくしまるえつことd.v.d

　やくしまるえつことd.v.d / Blu-Day (CD)

Blu-Day(DVD付)

　
　d.v.d とは、itoken、jimanicaのツイン・ドラムと映像作家の山口崇司によるユニットらしい。で、そのユニットとやくしまるえつこが組んでリリースしたアルバム。
　「シンクロニシティーン」と同日に発売されておりますが、相対性理論のバンド・サウンドと比べると、こちらは実験性に富んだテクノ・ポップ的な趣が強いですね。
　なんかでも音楽性がどうとかいうよりも、バンド・サウンドではおさまりきらない彼女の歌声の受け皿みたいな印象を受けました。（褒め言葉のつもりです。）
　
　まず『ファイナルダーリン』を聴くと、やくしまるえつこの歌声もいいんですけど、まずはツインドラムによるリズムの面白さに耳を奪われてしまいますね。80年代のテクノ・ポップ風な音でありながら、ヴォーカルのブツ切り感とかからは時代の変遷を感じちゃいます。
　付録のDVDでは、このリズムに映像の被さることで魅力は数倍にも増しております。成る程、映像作家を含むユニットですもんね。
　
　思い切り80年代風にチープなテクノ・ポップ・サウンドに笑い声などをサンプリングした『ALPS』、同じく時報を模した『時計ちっく』、ちょいと間の抜けたポップ感と微妙なアヴァンギャルドさが好いですね。
　エレクトロ・トイ・ポップなサウンドに早口な語りが素敵な『いただきMt.Blanc』、キュートな電子音を暴力的に畳みかける『勝手にアイザック』とかからも、懐かしい80年代風な、行き先不明に爆発的だけどファニーな実験性を感じます。
　そして、やくしまるえつこの「声」そのものの魅力を堪能できる朗読エレクトロ・ポップ『アラビアンリップ』で締め。
　
　お気に入りは、キュートなエレクトロニカ・ポップの『DoReMiソファー』でした。
　ピコピコビヨビヨした懐かしテクノ・ポップな電子音を配し、カラフルに転がるポップな曲調にキュートな歌声がとても映えます。