本日の1枚 高木正勝
- アーティスト: 高木正勝
- 出版社/メーカー: Epiphany Works
- 発売日: 2009/06/17
- メディア: CD
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2009年にリリースされた11枚目のアルバム。コンサート音源をもとに制作されたアルバムだそうで、オマケに神話集な文庫本が付いています。
タイトルの「タイ・レイ・タイ・リオ」は、京都・鞍馬の火祭りの掛け声「祭礼祭領」の語源なんですって。で、日本的な民族音楽の追求、みたいな趣旨を聞いてたのですが、実際に聴いてみるとあんまり「日本的」とは思えませんでした。
リズムがどうにも日本的でないのですね。ポリネシアンなものや大陸風なものとか、様々な世界観のリズムは確か日本文化のルーツであることは間違いないでしょうが、しかしそれが日本の民俗音楽としてリアルに感じられるかといえば残念ながらそうは思えない。
例えばタイトル曲の『Tai Rei Tei Rio』なんて、ついつい身体が揺さぶられるような祝祭的なリズムが好いのですが、じゃあそれがそれこそ鞍馬の火祭りの掛け声に感じられるような血沸き肉躍る感覚があるかといえばやっぱりありません。
もっと野暮ったい土着的な要素がないと「日本」な志向からは外れるような気がします。
などと書きましたが、実はアルバムとしてはなかなか素敵なもの。打楽器と「声」を中心に据えた音楽、いやリズムからは、何かこう原初的な音楽への意識を開かされるようで。
アルバム以上に素晴らしいのが、オマケの文庫本。石倉敏明という人が編した神話集が秀逸で、何が凄いってその世界観がアルバムの各曲にピタリとはまってるのです。
読んでいるテクストが解体されて音楽に再構築されるような、とても素晴らしい感覚を味わえましたよ。(残念ながらその体験は1回目のときだけしか味わえませんけどね。)
Tai Rei Tei Rio