本日の1冊 ウェブ人間論

ウェブ人間論 (新潮新書)

ウェブ人間論 (新潮新書)

 平野啓一郎が疑問を投げかけ、梅田望夫が適当にいなすというスタイルで進む対談。
 3年以上前に書かれた本であるが、平野の懐疑心と梅田の示す方向性とも、なかなか的確に現在を予測していることにまず感心する。
 印象的なのは、趣味の島宇宙にこもることを「現実は結局何も変わらないまま放置されている」と辛辣な眼差しを向ける平野に対し、梅田が「自分としては結構いいなと思ってるんですよ」と呑気に肯定する箇所でありました。
 その両者ともに違和感を感じてしまうのは、「リアル」のとらえ方によるものでしょう。島宇宙を現実からの逃避と見るか、現実の延長と見るか、視点は違えど「リアル」の基軸は同じようです。けど例えば僕なんか、島宇宙こそがリアルで、むしろ現実世界、例えば仕事中に異世界観を感じたりしますし、もっと言えば仕事中に「現実逃避」してるような感覚を味わったりしております。