本日の1枚 Looper

 Looper / Up A tree (CD)

アップ・ア・トゥリー

アップ・ア・トゥリー

 
 ベル&セバスチャンのスチュワート・デイヴィッドによるユニット。他のメンバーは奥さんや弟らしい。
 これは1999年にリリースされたファースト・アルバムで、打ち込み+生楽器なハンドメイド感の溢れる盤であります。
 楽曲の作りからしていかにも安っぽい小品が並ぶのですが、それはそれでとてもキュートで愛らしい。
 しかも実は結構エクスペリメンタルな構成の曲ばかりで、可愛い表面からはトゲトゲしさが見え隠れします。
 音楽性はまるで違っても、そのへんやはりベルセバと共通するセンスも感じます。
 
 オープニングの『The Treehouse』では、柔らかなトラックに子供の声をサンプリング。なんてことないブレイクビーツなんだけど、どことなく漂う切なさとキュートさが好いのです。
 トローンとしたベースの響きが素敵な『Impossible Things #2』、間の抜けたスクラッチ音などによるチープ感が好い『Burning Flies』、
 ドラムン気味な高速リズムがまた安っぽい『Ballad Of Ray Suzuki』、メランコリックなサウンドからアブストラクト感が滲み出る『Dave The Moon Man』、
 グネグネした煌めきによるポップ・サイケ感が好い『Quiet And Small』など、決して楽曲としての完成度は高くないものの心惹かれる小品が並びます。
 
 キュートな曲が続くかと思ったら、なぜか『Columbo's Car』のようにジャズ風味にファンキーな楽曲もあったりとか。
 お気に入りはまぁ可愛らしいポップ・ソングの『Up A Tree Again』なのでした。
 
 
 Ballad Of Ray Suzuki