本日の１枚 かしぶち哲郎

　かしぶち哲郎 / ル・グラン (CD)

ル・グラン

　
　2009年にリリースされた、ムーンライダーズのかしぶち哲郎のソロ・アルバム。前作からは16年振りだとか。
　洗練された音ではありながら、なんか場末な雰囲気も。とても優雅な世界観の中から、どこかモンドなテイストが滲み出るような音であります。
　
　まずは冒頭『恋人たちのロンド』を聴いてみましょう。クレモンティーヌとのデュエット曲であります。
　ヨーロピアン・テイスト溢れるアレンジでなんですけど、その「ヨーロッパ」とは、1980年代に日本人が夢想していたそれのように思えます。
　懐かしくなる「ロマンティック」なサウンドなんですね。
　と言っても、決して進化がないというわけではありませんけど。
　
　お気に入りはヨーロピアン・ボッサな『いつも一緒』。
　石川セリとのデュエット曲なんですけど、ヨーロピアン・テイストを極度に甘くしたら昭和の歌謡曲になっちゃった、みたいな雰囲気が素敵です。
　
　クレモンティーヌに日本語で歌わせる『Mr.&Ms.Christmas』とかについ気が惹かれますが、洒落てるのに野暮ったいシャンソン歌謡な楽曲の味わいの方が面白いですな。