本日の1冊 京都宵
- 作者: 井上雅彦
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2008/09/09
- メディア: 文庫
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なんとなく観光気分も味わえる作品が多く、もちろんホラーとしての質も決して低くはない。けれど、正直なところ、京都に絡める必要性、世界観が感じられないモノばかりだと思った。
最も感動したのは、前の持ち主の仕業であろうか、文中に登場する京都弁の横に鉛筆でラインが引かれていたこと。(ちなみに、京阪三条駅上のブックオフで購入したもの)
「しとくれやっしゃ」「なんどすけど」など、いちいち話し言葉の語尾にラインが引かれているのに加え、「二十一日の弘法さん」など、京都の年中行事にもチェックがされている。
京都に越してきたものの周りの会話についていけない気がした人、とか、どんな境遇の人が「京都」を学ぼうとしたのかあれこれ想像するととても楽しい。本の内容よりも。
そして京都を学ぼうとするなら、別にホラー短編集でなくてもいいんじゃない、と思うこともまた楽しい。