本日の1枚 Lamp

 Lamp / 八月の詩情 (CD)

八月の詩情

八月の詩情

 
 今月頭にリリースされたミニアルバム。タイトルどおり夏らしい雰囲気に満ちております。
 しかしながらその暑さはジャケどおりにセピア色な印象。
 白昼夢の中でゆらゆらと揺らめく陽炎のようで、暑苦しさではなくドリーミーな心地良さを感じます。といってもカリフォルニアなポップ・サウンドとはちょっと違う。
 そしてまた、緻密に構成された凝ったアレンジと榊原香保里の歌声のキュートさの素晴らしさは言うまでもありません。
 
 『青い海岸線から』は、重いメロウ・ファンキーな音でスタートしますが、女性ヴォーカルが入ってくるとスッと浮遊していくのですよ。このファンク路線はいいなぁ。中盤の転調にあわせて始めるスキャットがまたたまらなく素敵。
 『夢をみたくて』は、何というか、フワフワじゃなくボワーンとした浮遊感、厚みのある柔らかさに包まれていく快感に身を浸しましょう。
 『回想』は、ジェントルにソフト・ロッキンな歌声と甘いアレンジ、そして弾むリズムがとっても心地良い。歌詞の語感も柔らかくていいですね。
 『八月の詩情』は、これも楽曲自体好いんだけど、コーラスの厚さと美しさが素敵な逸品。特に男女ヴォーカルが交差していく美しさがたまりませんなぁ。
 
 一番のお気に入りは、『昼下りの情事』。
 夕陽を受けてキラキラと輝く静かな波のイメージ。とろけそうなメロウさです。ふにゃーんと捻れた浮遊感はミナス的でもあります。
 とろーんとアーシーなグルーヴ感とアンニュイな歌声があまりに素敵ですが、それに負けずタイトルがまた素敵であります。
 
 
 回想