本日の1冊 女の足指と電話機

女の足指と電話機―回想の女優たち

女の足指と電話機―回想の女優たち

 映画・演劇評論を中心としたエッセイ集。まずはとにかく映画や音楽、文学等への造詣の深さに恐れ入る。
 ほとんどが女性の美しさやエロスについて書かれたものであるが、その文章は非常に上品で知的、美しく、そしてエロティックであります。
 例えば「オナニー」なんて語がモロ書きされているんだけど、それがちっともいやらしくないから不思議である。
 そして、映画のお気に入り場面を回想し、俳優だけでなく画面に映るあらゆるモノ1つ1つにエロスを結び付け、自分の世界観により再構成していく。
 その緻密な技巧の素晴らしさは読後にもあとをひき、何度も読み返したくなる衝動に駆られます。
 ちなみにタイトル「女の足指と電話機」とは、つかこうへい「ストリッパー物語」の中に登場する、女性の足を電話にするシーンから取ったもの。このタイトルだけでも脱帽ですね。