本日の1枚 Stone Harbour

 Stone Harbour / Emerges (CD)

Emerges

Emerges

 
 米国の自主制作サイケ盤。1974年に発表されたアルバムに、ボートラ4曲を追加して再発されております。
 どうやら男性デュオのようですが、録音状態の悪さに起因するロー・ファイ感、よれよれしたヴォーカルの情けなさなど、本来であればマイナスに働くはずの要素が奇跡的な交錯により好盤へと完成されています。
 ぼわーんとドリーミー(実は音が悪いだけ)なサウンドの波に、適度にノイジー(実は音が悪いだけ)なファズ・ギターが響き、そしてやる瀬無い(実は下手なだけ)なヴォーカルが漂う。
 なんだかダウナーなアシッド・フォークの佇まいも感じます。
 メロディもなかなかにメランコリックで、フワフワと浮遊する様が本当に好いのですよ。。
 
 『You'll Be A Star』は、美しいアコギの音色で始める、どよーんとドリーミーなアシッド・フォーク。と思ってたら、いつの間にかサイケな曲へと展開していく。
 『Rock & Roll Puzzle』は、どサイケな曲調であるが、勇ましく歌おうとしてもなんか情けない歌声が好い。でも重苦しく疾走するグルーヴィさはカッコいいぞ。
 
 『Grains Of Sand』は、歪んだギターがシューゲイザー的なイントロが、歌が始まるとなぜかラテン歌謡風のアレンジ。この天然の面白さがいいのですよ。
 『Summer Magic Is Gone』は、アコギ中心のシンプルな演奏にへなちょこな歌声。なんかアノラックな感性なんだなぁ。
 
 『Thanitos』は、冒頭の謎なSE音からしてお馬鹿サイケな匂いがプンプン、と思ってたらそのまま終わっちゃうのか!
 『Still Like That Rock & Roll』は、頑張ってロケンローな楽曲もなんだか愛らしく思える。しかし、つっかかって唸りをあげるギターのノイズはカッコいいし。
 
 『Dying To Love You』は、ぼんやりドリーミーなサイケ感が素敵。やるせないヴォーカルもいい雰囲気だ。
 ラストの『Working For The Queen』は、思い切りガレージ・パンクな曲ですが、ギターの歪みがやっぱ80年代後半のアノラック・バンドっぽいのだ。
 
 
 Working For The Queen