本日の1枚 持田香織

 持田香織 / NIU (CD)

NIU

NIU

 
 2枚目のソロ・アルバム。大谷友介、半野喜弘渋谷慶一郎谷山浩子などが参加。
 ファーストも「意外に」良質なポップ・アルバムでしたが、本作もなかなかの好盤でありました。
 あまり目立つ曲はなく、かなり地味な印象のアルバムなんですけど、どの曲も地味に良い。なんてことのないポップ・ソングのようで、実は細やかなアレンジが施されていることを発見していけるタイプ。
 
 例えばオープニングの『Bolero』。
 ブラジリアンなテイストのシティ・ポップ系の楽曲なんですが、アコギのジャカジャカさと抑揚の少ないメロディが醸し出す爽やかさがとても素敵です。
 ストリングの入るタイミングとか、ちょっとしたアレンジの絶妙さに耳を奪われます。この地味だけど素晴らしい曲のアレンジは、大谷友介が担当。
 
 半野喜弘が編曲を担当した曲は、どれも心地良さがじんわりときます。
 ミニマルなピアノやギターのフレーズが何気に心地良い『Pocket』や『mind sound』。
 メロウさがとても心地良く、特にサビで音全体が舞い上がるアレンジが素晴らしい『愛の花』。
 ノスタルジックな玩具箱系のアレンジがこれまた柔らかく、ふわふわな浮遊感が心地良すぎる『NIU』。
 半野絡みでは、ムーディにジャズ系な『Night Cats』が好いかな。実は僕はちょっと力が入った時の持田香織の声が苦手なんですが、この曲では英語詞の所為もありましょうが、その声の「張り」がいい具合に消えてウィスパー系に。
 
 谷山浩子との共作『きみのともだち』は、ややアシッドなテイストのフォーキー・ポップ。
 サビで元気に盛り上がらずに、そのまま内省的に進めばアシッド・フォークとして良曲になったのに。惜しいなぁ(?)。
 
 お気に入りは、渋谷慶一郎が編曲を担当した『sora』。
 ピアノ中心の生音エレクトロニカ・ポップで、ウィスパー・ヴォイスで平坦に歌う様がとても素晴らしい。「ラララー」な歌声とかもね。
 微細にノイズが鳴り響くアレンジもまた素敵なんですけど、でもやっぱ地味だなぁ。
 
 
 きみのともだち