本日の1枚 湯川潮音

 湯川潮音 / クレッシェンド (CD)

クレッシェンド

クレッシェンド

 
kobbadiva: 本日のお題は湯川潮音さん。「灰色とわたし」から2年以上経過、待望のオリジナル・アルバムです。プロデュースは前作に引き続きクマ原田、さらにキセルの辻村豪文やスーパーカーいしわたり淳治などが作曲で参加しています。
kobbanova: 「灰色とわたし」もその後のカヴァー集も、というか過去作すべて大好きなんだけど、ぶっちゃけこの新作はなんかちょっと違うんだなぁ。残念でたまらない。
kd: そんなことありませんよ。従来よりもさらに歌唱力も増していると思いますし、開放的でポップなサウンドも過去作からの大きな飛躍を感じます。
kn: いやいや、別に彼女には「上手い」歌手になんかなって欲しくないのだ。彼女の凛とした透明感のある歌声は、英国フォークの「深い森の奥」な雰囲気を日本語で表現可能な希有な存在だと思うんだけどなぁ。だから、その佇まいを感じる音楽を聴きたいんだ。
kd: でもきっとご本人はその固定観念から脱したかったのではないですか。
kn: だから、俺はそんなの求めてないって。
kd: なんかダメなファンの見本みたいな物言いですね・・・。ともかく1曲目の『Lovers Dart』からストリングのアレンジもとてもポップ。嬉しくなってきませんか。
kn: こないね。2曲目『電話のむこう』も普通にJポップな感じで始まるし。けど歌声が高音に裏返るとガラリと雰囲気が変わるな。なんか惜しい。
kd: メロウさが素敵な曲だと思いますけどねぁ。続く『終わりのない物語』はダブなサウンドですね。こんなのは好きでしょ。
kn: まぁ悪くはないんだけどなぁ・・・。でもサビの歌声にはしびれちゃうよ。
kd: 『どうかあしたは』はレゲエなリズムですね。
kn: 軽やかなアレンジが素敵なんだけど、何かこうグッとくるものがないんだなぁ。これも惜しい。
kd: 静かな『ヒーロー』や『ダイス』はどうですか。
kn: だから悪くないんだけどなぁ、普通にJポップの範疇なんだなぁ。曲の好き嫌いは置いといて、『ロンリー』の歌声は好きだよ。曲としては『愛に帰ろう』かな。
kd: 数年前からの湯川潮音熱はすっかり冷めちゃったようですね。
kn: いや、まだ冷めてはいない。次作はモロにトラッドなアルバムを希望する。
kd: その声は絶対に届かないと思います。