本日の1冊 音楽嗜好症

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

音楽嗜好症(ミュージコフィリア)―脳神経科医と音楽に憑かれた人々

 タイトルを見て「俺のことか」と思って読んでみたら、非常に本格的な医学エッセイでありました。筆者は「レナードの朝」の原作者であります。
 具体的な症例をたくさん挙げながら、音楽嗜好症や音楽誘発性癲癇、失音楽症など音楽に関する様々や症状を紹介しています。
 思いのほか読み応えがあり、そしてまた音楽の魅力の不思議さを感じました。
 
 特に興味深かったのは、絶対音感についてのエッセイ。まさにここに書かれていることを最近思い知ったからであります。
 年末に娘(6歳)のピアノの発表会があるのですが、その余興で娘と嫁がステージで「Winter Wonderland」を連弾することになりました。
 家のレコ棚から同曲を探そうとしたら、見つかったのはモータウンファンク・ブラザーズ
 で、早速かけてみたところ、嫁は「気持ち悪くて聴いてられない。」と主張。娘にいたっては、自分が練習してる曲と同じだということすら気付かない有様。
 絶対音感の無い僕は気付きもしませんでしたが、実はファンク・ブラザーズ版は「調」が違っていたのですね。
 僕の耳では同じにしか聴こえない曲が、絶対音感のある嫁と娘の2人には「別物」として認識されてしまう。この信じがたい事実が、この本で医学的見地から語られていたのでついつい感心しつつ読み込んでしまいました。