本日の1枚 大貫妙子

 大貫妙子 / Romantique (CD)

 
kobbadiva: 本日のお題は、大貫妙子さんが1980年にリリースしたこのアルバム。アレンジは坂本龍一加藤和彦、演奏には細野晴臣高橋幸宏大村憲司などが参加しています。
kobbanova: 実は今「未来型サバイバル音楽論」を読んでるんだけど、この盤のプロデュースは牧村憲一なんだよね。あと、なんとなく全曲坂本龍一アレンジと思い込んでたんだけど、10曲中4曲が加藤和彦アレンジだったんだなぁ。
kd: ヨーロッパを強くイメージした、タイトルどおりロマンティックな情緒が溢れていますね。
kn: うーん、そうかなぁ。当時はメディアの謳い文句を鵜呑みにしてすっごくヨーロッパ的だと思ってたんだけど、今聴くと何がヨーロッパなんだかよく分からないや。例えば冒頭の『CARNAVAL』なんか普通にテクノ・ポップしてるよ。
kd: 優美な雰囲気はニューロマに通じませんか。
kn: いや、ヨーロッパとかロマンティックとかってのはそういう意味じゃないだろ。ま、そんな話は置いといて、『CARNAVAL』はテクノ・ポップ歌謡として名曲だなぁ。おお、この Prophet 5 の音色が懐かしい!
kd: 続く『ディケイド・ナイト』からはシンセの音色があっさりしてきますね。『若き日の望楼』はピアノ中心のややシンプルな曲ですし。
kn: 『雨の夜明け』や『若き日の望楼』は大好きだったなぁ、冷ややかな空気感にグッとくるよ。『BOHEMIAN』も暖かなイントロが歌が始まると急に冷え込むし。こういうアレンジって、歌の存在感とのバランスが難しいと思うんだけど。「上手すぎない」時代の歌声だから実現できたことだと思う。
kd: A面5曲はすべて坂本龍一さんのアレンジですが、B面は加藤和彦さんのアレンジが始まります。ほら、『果てなき旅情』や『ふたり』からはやっぱりヨーロッパなイメージを強く感じますよ。
kn: でもヨーロッパのどの国かと問われたら答えられないだろ。『ふたり』なんかサンバなアレンジだし。でもまぁそんな異国情緒かなぁ。
kd: 『軽蔑』は力強いドラムが印象的ですね。
kn: なんかモロに80年代の日本のインディーズ・バンドな雰囲気だな。ああいうのって、ここに繋がったりするるのかぁ。
kd: B面では唯一坂本龍一アレンジの『新しいシャツ』も、ドラムが印象的に思えます。そしてオリジナル・アルバムではラストになる『蜃気楼の街』はシュガー・ベイブのセルフ・カヴァー。
kn: ほのかにボッサなアレンジが素敵すぎる。俺がブラジル音楽を明確に意識したのは80年代の終わり頃になってからなんだけど、実は意識する前からこんな曲とかでしっかりと耳が「教育」されてたことが分かったよ。
 
 
 CARNAVAL
 
 
 蜃気楼の街