本日の1枚 Free Design

 Free Design / Cosmic Peekaboo (CD)

Cosmic Peekaboo

Cosmic Peekaboo

 
kobbadiva: 本日のお題は、フリー・デザインが2000年にリリースしたアルバムです。なんと28年振りに再結成、録音した「新作」なんですね。
kobbanova: やってくれたね、独逸マリナ・レコード。でもきっとドイツ国内よりも日本のほうで売れてると思うぞ。
kd: しかし、1960年代のアルバムと比べてもクオリティの高さが全く落ちていないことが凄いですね。特に高度なコーラス・ワークの巧みさには驚かされます。
kn: 技術的な衰えがないこともそうなんだけど、むしろアルバム全体が発する世界観が変わらないことのほうが驚きだね。
kd: 冒頭の『Peekaboo』からもう、ホーリーな歌声とソフト・ロッキンなアレンジが相変わらず魅力的ですね。
kn: イントロの笛の音色だけでも胸キュンものだな。で、確かにソフト・ロッキンなんだけど、穏やかながらも冷たい空気感で、そのあたりの感性はかつてのシカゴ音響系や北欧のエレクトロニカ・ポップなんかに通ずるものがあると思う。これはまぁ過去作も含めての話なんだけど。
kd: なるほど『McCarran Airport』では、微妙に生音エレクトロニカなテイストが感じられますね。
kn: この曲ではギターの刻みがミソかな。でもリズムカルながら穏やかに伸びていくコーラスはさすがに素晴らしいよ。
kd: 『Younger Son』や『Destiny』はジャジーな楽曲のアレンジに加えクラシカルな素養が感じられますね。このあたりの曲作りも昔どおりというか。
kn: 凛とした女性コーラスが入ると空気が変わっちゃうね。まぁしかし、女性陣の声は昔とあんまり変わらない気がするが、男性陣はオッサン声になっちゃったなぁ。それはそれで悪くないんだけど。
kd: 『Listen』のような荘厳な曲にもフリー・デザインらしさを感じます。
kn: 不要な音は剥ぎ落とし、ハーモニーの美しさがひと際輝いているな。でさぁ、その後にファニーにヴォーカリーズな『The Hook』が続くところがいいんだよな。この流れがとても好きなんだよ。
kd: お気に入りの曲はどれですか?
kn: 女性コーラスでは『Music Room』が一番好きかな。人ではない何か崇高なモノの声が木霊しているかのように思えるよ。
kd: 再結成ものとしては格段にレベルの高いアルバムでしたね。単にファン向けでない内容です。
kn: 何が腹立たしいかって、このアルバムが当時あんまり話題にならなかったことだな。今からでもいいから、聴いてない奴はちゃんと聴いとけって。
 
 
 Peekaboo